闇の深さ

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眠れない夜に深夜の駅に行くのが好きだ。静まり返った駅構内。活気に満ち溢れた昼間とは正反対である。その静けさの中で、改札口を出たところに椅子が置いているのでそこに座る。

静寂さとほんの僅かな灯り。そこに座って目を閉じて無心になる。深夜の狂気じみた気配を感じる。そこにはカオスが存在している。誰もいない駅構内。どちらが上で下か、どいらが右から左かすら分からない。そして、そっと目を開けて、自分の手を見る。確実に存在していることを確認する。

そして、再び目を閉じて昼間の活気さを想像してみる。始発から電車に乗る人もいれば、おそらく、寝坊したと思われるサラリーマンや学生が勢い良く走っていく。夜勤明けと思われる人は疲れきった顔をしている。そこにはあるのは、希望と絶望が複雑に入り混じった感情を感じることが出来る。

通勤ラッシュの時間はたくさんの人が入れ替わり立ち代わり交錯している。やがて、通勤ラッシュが終わると、ベビーカーを押している母親が駅構内に現れる。どうやら、何処かに向かっている様子だ。

何処に、向かっているのだろう。買い物なのか、あるいは、郊外にある公園に行こうとしているのだろうか、それとも、ママ友のところに遊びに行くのか判断がつきにくい。ご年配の方も歩いている。色々な人々が交錯している駅構内。深夜とはうって違って違うカオスが存在している。そこにあるのは、友情なのか判断がつきにくいが、おそらく、その両者が入り混じっているのだろうう。

そんなことを想像しながら、深夜の駅にある椅子に腰掛けている。目を閉じている間は、そんな、色々な状態のカオスが存在する。そして、そこには、僕という存在の境界線が曖昧になっていく。まるで、闇の深さに飲み込まれそうになる。そして、僕は家路と帰るのである。